どくしょのじかん

ミステリ・ホラー作品の紹介。 ネタバレは避けてます。購入時の参考にでもしてやってください。
はじめに
 ・このブログでは、ミステリ、ホラー、推理小説などのあらすじや書評等を、着の身着のままに紹介しています。
 ・ネタバレは極力避けて書いていますが、なにせ私も人間なので完璧というわけにはいかない場合もあるかもしれません。気をつけて閲覧してください。
 ・ファンとなる作家、ジャンルなどの新規開拓に使ってもらえれば嬉しいです。
 ・たぶん、紹介作品は様々な偏りを見せるかと思われますが、寛大な心を以って閲覧していただければ幸いです。

ご利用方法
 ・作家別にカテゴリとして分けてあるので、気になる作家を目指して各ページへ飛んでください。
 ・なにかと苦労して書き上げているものなので、無断で引用転載を行うのだけは勘弁してください。個人使用は可です。
 ・★印の数で5段階評価しています。★が多いほど高評価を表しています。
 ・少しずつカスタマイズとイベントを行っていくので、長い目で見守ってやってください。
 
作家小説作家小説
有栖川 有栖

幻冬舎 2004-08
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5つ星評価:★★★☆☆


●目次●
書く機械
殺しにくるもの
締切二日前
奇骨先生
サイン会の憂鬱
作家漫才
書かないでくれます?
夢物語


◆あらすじ◆
書く機械
入社3年目で雑誌の編集しか経験のない栗山に、書籍出版部きっての敏腕編集長の藤原から声がかかった。「ベストセラー作家を作ろう」。半信半疑のまま栗山は作家と共に藤原についていくのだが、その先には想像を絶する光景があった。

殺しにくるもの
北は宮城県から南は福岡県まで日本中をまたがるほど広域な通り魔連続殺人事件が起こった。殺害方法は共通していて、どう見ても同じ犯人だというのに、被害者に共通点が見つからない。ただ一点を除いて・・・。被害者の意外な共通点とは?

締切二日前
ミステリ作家、川村耕多郎は近年まれにみるピンチに陥っていた。〆切が二日後に迫った短編をどうしても書けずにいるのだ。この原稿が落ちれば出版社から見切りをつけられる可能性大。是が非でも書き上げなければならないがアイデアがまったく沸いてこない。そんな川村は苦肉の策としてある物を手にした。

奇骨先生
小説作家を目指す高校生、直哉は図書部のインタビューで吉沢梨奈とともに、大人気歴史小説作家、富田奇骨のもとをおとずれた。緊張の中アドバイスを求める直哉だったが、奇骨からは意外なコメントが返ってきた。直哉と奇骨を結んだ意外な事実とは・・・。

サイン会の憂鬱
勅使河原秀樹は悩んでいた。というより落ち込んでいた。普通の作家なら喜ぶはずの故郷への凱旋サイン会。しかし勅使河原にとって悩み以外のなにものでもなかった。売れっ子というにはほどとおいし、故郷は人も少なく、ちょっとした本屋のサイン会など人が集まるわけもない。しかも、集まる人々は自分の知り合いばかりだろう。悩みこむ勅使河原をよそに、ついにサイン会が始まってしまう。しかし、そんな悩みはサイン会の客の奇怪さに薄れてしまうのであった・・・。

他3作品


■感想■
職業作家を題材にミステリ仕立てに仕上げた有栖川氏の短編集です。すべてプロの作家が主人公、もしくは準(?)主人公になっています。
作家を主人公にしたミステリは結構あったりしますが、作家職業をテーマにするというのは珍しいのではないでしょうか。しかもミステリですからね。そのへんはさすがは有栖川氏、というストーリーと構成になっています。
作家が作家業を書くのですから簡単なもののように思えますが、読んでみると、どうやらなかなか難しそうです。悪戦苦闘が垣間見える作品もあります。短編だけに、短編ならでは、両者が混同する難しさなのかもしれませんね。












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緋色の囁き緋色の囁き
綾辻 行人

講談社 1997-11
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5つ星評価:★★★☆☆


●目次●
第一章 魔女の学園
第二章 開かずの扉
第三章 魔女の死
第四章 赤い日曜日
第五章 疑惑の影
第六章 暴走の教室
第七章 過去の囁き
第八章 贖罪の山羊
第九章 魔女たちの夜
第十章 暴かれた魔性
終章


◆あらすじ◆
 宗像冴子は、伯母に連れられ、全寮制の名門女子高である聖真女学園へ転向してきた。伯母である千代はこの名門校の校長を勤める。つい二ヶ月前、突然千代が冴子の家を訪問し、初めて会う千代を伯母であると母親から紹介されたのだ。
 流されるまま宗像を名乗ることとなった冴子は、突然の環境の変化に戸惑わずにはいられなかった。神聖な校風、厳しすぎる校則、人形のような学生たち、そして自らを魔女と称するルームメイトの恵。
 その恵が謎の言葉を告げた直後、「開かずの間」で焼死してしまう。恵は自殺だったのか?誰かに殺されたのか?状況が混沌としている間にも、クラスメイトが次々と死に飲み込まれていく。
 冴子は、心の奥深くから沸き起こる「囁き」の存在に気づき、自分が殺人鬼なのではないかと恐怖するようになる。そしてそこに恵の兄、俊記が現れた。俊記は妹の死の真相に迫ろうとするが、真相が見えてくるにつれて、この連続殺人に冴子が関わっていることに気づいてしまう・・・。



■感想■
 綾辻氏は純粋なミステリ以外にも、スプラッタやホラーを絡ませた作品も数多く作り出しています。その中で、この作品を含む「囁きシリーズ」はホラー色の強い作品となっています。この作品はそのシリーズ第一弾です。
 ホラー色が強いだけあって、ミステリとしてはいまいち感度が鈍いかなと。トリックというトリックも出てこないですし。
 とはいえ、ホラーとしてはなかなか魅力的であります。魔女をテーマにしたあたりは平凡な感じを受けさせますが、そこは綾辻氏。普通の魔女伝説とはわけが違います。その違いがミステリと絡んでくるわけですね。
 「囁きシリーズ」は、ぜひこの『緋色の囁き』から順番に読んでいってください。実は、このシリーズ、リンクしているのです。どのへんがリンクしているのかは、皆さんが見つけてくださいね。













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双頭の悪魔双頭の悪魔
有栖川 有栖

東京創元社 1999-04
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5つ星評価:★★★★★


●目次●
プロローグ―マリア
第一章 夏森の村―アリス
第二章 婚約の宵―マリア
第三章 黒澤明風に―アリス
第四章 雨の訪問者―マリア
第五章 闇への供物―マリア
第六章 切断―アリス
第七章 暗い部屋の死―アリス
第八章 ミューズの迷宮―マリア
第九章 密会の果て―アリス
第十章 斧とハンマー―マリア
 読者への第一の挑戦
第十一章 配達されなかった手紙―アリス
 読者への第二の挑戦
第十二章 狩猟者の名前―マリア
第十三章 呼び出された者―アリス
第十四章 死の標本―マリア
第十五章 遺留品―アリス
第十六章 迷宮の出口―マリア
 読者への第三の、そして最後の挑戦
第十七章 失楽の香り―マリア
エピローグ―アリス/マリア


◆あらすじ◆
ある日、マリアの父親である有馬竜三氏が英都大学推理小説研究会を訪れた。「娘を連れ戻してほしい」と懇願する有馬氏の要請を受けて、研究会メンバーの4人は、マリアを連れ戻すべく、四国へ走る。マリアは芸術の村とされる木更村に在住しているようなのだが、木更村は外部との干渉をかたくなに拒むことで有名であり、その内部の詳細はうかがい知ることができない。業を煮やした4人は、大雨の天候を絶好のチャンスとし、村への強行侵入を試みる。マリアにあと一歩というところまで迫ったものの、敢え無く村人に捕まってしまい、江神以外の3人は村の外に追い出されてしまう。その矢先、大雨によって氾濫した川水が、村と外部を繋ぐ唯一のつり橋を押し流してしまい、木更村は陸の孤島と化してしまう。
村に残された江神とマリア。外部に残されたアリスと望月と織田。お互いに取り残された状況で、お互いに不可思議な事件に巻き込まれる。しかも殺人というおまけ付き。
村の内側と外側で、お互いのグループは事件の真相に迫れるのか。犯人は誰なのか。そして二つのグループは想像を絶する終幕へと導かれていく。


■感想■
 江神二郎三部作の三作目です。きました。逸作です。
 この江神二郎シリーズをはじめ、国名シリーズ、短編集など、有栖川氏の作品はたくさんあるわけですが、その有栖川氏の作品の中で、僕のベスト1がこの「双頭の悪魔」です。
 ミステリを読むにあたって、みなさんもそうだと思うのですが、「楽しみにしている部分」というのがあると思います。それは人それぞれだと思うのですが、僕の場合、登場人物が魅力的かどうか、展開は滑らかで自然か、状況に無理はないか、トリックに無理はないか、意外性は大きいか、なにより読みやすいか、といった部分を無意識に読み取ろうとしています。これらのポイントが高ければ高いほど、読破後に「ほえ〜」となるわけです。
 この作品は、これらの点がすべてパーフェクトと言っていいでしょう。僕好みの直球ストレートど真ん中です。初めて読み終ったときには、大げさじゃなく、しばらく動けませんでした。心から楽しめたという状態です。
 本格の真骨頂、和製クインの真髄とも言うべきこの作品、なんと「読者への挑戦」が3度も入っています。「第一」と「第二」は、求められるものはWho done itのみ。「第三」でWho done itとWhy done it、そしてHow done it。前者2点については、注意深くしていればわかるかなと。「第三」までで全てが解明できるようであれば、ぜひ自分でミステリを書いてみることをお薦めします。有栖川氏も「読者は糸を手繰るだけでは迷宮を抜け出すことは叶わないだろう」と言っていますから、全てが解明できなくてもしょうがないでしょう。と、自分に言い聞かせてみたり。
この作品を書店で見かけると、その分厚さに手が伸び悩みがちになるかもしれません。ですが、その長さを微塵も感じさせない面白さが、この作品にはあります。ぜひこの本格中の本格を手に取り、ピラミッドの頂点の欠片を積み上げてください。












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孤島パズル孤島パズル
有栖川 有栖

東京創元社 1996-08
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5つ星評価:★★★★☆


●目次●
序 章 パズラー
第一章 ジグソー・ピース
第二章 密室パズル
第三章 自転車パズル
第四章 モアイパズル
第五章 自殺パズル
 読者への挑戦
第六章 ジグソーパズル
エピローグ


◆あらすじ◆
ついに英都大学推理小説研究会にも春が来た。アリスの同期生である有馬麻里亜(通称マリア)が推理研究会に入会したのだ。そのマリアが夏休みに叔父の別荘へと研究会メンバーを誘う。メインテーマはマリアの祖父が孤島に隠したとされる時価数億円の宝探し。推理研究会の誇りを賭けて嘉敷島へ降り立った江神とアリスだったが、彼らを待っていたのは島中に点在する無数のモアイ像と、パズルの数々。そして連続殺人だった。
江神とアリス、そしてマリアは孤島のパズルを解き明かすことができるのか。そして、事件の真相に迫ることはできるのか。


■感想■
 江神二郎三部作の二作目です。
 一作目では出ていなかったマリアが初登場し、江神シリーズに新風を巻き起こしています。なんとも魅力的な登場人物です。
 一作目「月光ゲーム」では、論理的推理がメインとなっていましたが、今度はテーマがパズルです。僕としてはパズルも好きなのでどっぷりハマってしまいました。とはいえ、パズルが苦手な方でも臆することなく読み進むことができますし、もちろん相変わらず理路整然とした論理も待ち受けています。やはり本格派ですね。
 今回も「読者への挑戦」が挿入されています。このコメントがまた非常に挑戦的(当たり前?)で、しかもカッコいいです。ミステリファンの心をくすぐるコメントが載せられています。気障というか、クールというか。さすがです。












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月光ゲーム―Yの悲劇’88月光ゲーム―Yの悲劇’88
有栖川 有栖

東京創元社 1994-07
売り上げランキング : 67793

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5つ星評価:★★★★☆


●目次●
プロローグ
第一章 マーダー・ゲームの宵
第二章 驚愕の朝
第三章 恐怖の夜
第四章 疑惑の日
第五章 下山の時
 読者への挑戦
第六章 別れの夜明け
エピローグ


◆あらすじ◆
英都大学推理小説研究会の4人は、夏合宿と称して矢吹山のキャンプ場へやってきた。そこへ偶然一緒になった雄林大学ハイキング同好会と神南学院短期大学の面々たち。総勢17名にもなる団体で、自然の中で共になった喜びを噛み締めつつ、彼らは大いにはしゃいでいた。しかし、自然と運命の出会いを喜ぶ学生たちを、矢吹山の噴火が恐怖のどん底へ叩き落した。陸の孤島と化したキャンプ場。火山の恐怖に慄く彼らを、さらなる戦慄が襲う。噴火の混乱に紛れて殺人が起きたのだ。
一人、また一人と襲われては殺されていく学生たち。外部に助けを求められないと悟った推理小説研究会の4人は、この連続殺人事件の調査に乗り出す。細かな手がかりを元に、部長江上二郎が辿り着いた答えとは・・・?


■感想■
「和製エラリィ・クイン」有栖川有栖氏のデビュー作であり、かつ江神二郎三部作の一作目となるこの作品。非常にいいですね。単純明快な本格モノです。
 外部から切り離された状況で連続殺人が起き、探偵役が助手役を引き連れて手がかりを探し出し、論理的推理を以って犯人を割り出す。王道中の王道とも言えるシチュエーションです。このパターンはコナン・ドイル依頼、100年以上のミステリの歴史上何作も出てきているはずですが、王道はやはり王道ですね。ホッとします。
 クインの大ファン、論理的推理の鑑ともされる有栖川氏のデビュー作だけあって、いろいろなところに手を出し、いろいろな作法により試行錯誤しながら書き上げたという印象があります。もちろんそれらは悪く影響するものではなく、読んでいて違和感なく受け入れることができます。とくに推理小説研究会の4人のやり取りや、江神の描写などは、本当に実在する学生じゃないのかと疑うくらいリアルだったりします。
 ただ、面白い情景だとは思いますが、火山の麓という場面設定には少し無理があるかも・・・ということでマイナス1つ★です。
 秀作、逸作という感じではありません。そうですね・・・力作というところでしょうか。有栖川氏の“若さ”を感じる作品ですね。もちろん、デビュー作といえど、伏線もたっぷり張ってありますし、ヒントもたくさん潜んでいます。おまけに「読者への挑戦」まで入っているので、未読のかたはぜひ若き有栖川有栖に挑戦してみてください。












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